マになってからのお出かけで一番変わったことといえば、自分の荷物が減ったこと。
というのも、子どもの荷物を入れるだけでバッグはパンパンで、なるべく嵩を減らそうとすると結局自分の荷物を減らさざるを得ない。
元々そんなに荷物持ちではないので、これ以上どうしよう…と考えた結果、今まで使っていたキーケースはキーリングに、そして長財布から少し小さいミディアムサイズのものへと新調しました。
それから3年。今では荷物は2人分。長男の荷物はだいぶ減ったとはいえ、乳児のミルク一式とお着替えなどをいれるとWsac+でちょうど入るといった具合で、それより小さいバッグにはとても収まらない荷物量。近場や送り迎えのときはプチサックを使っているので、それに合わせてお財布もさらに小さいものが欲しいなぁと思うようになりました。
それと、基本的にはよく行くところ以外のポイントカードをお断りしているはずなのに、私の手元には不思議とカードがたくさんある。ショップカードだけでなく、スーパー、クリーニング、整体、雑貨屋…もちろんミディアム財布には収まるはずはなく、別で仕切りがなくザクッといれるタイプのカードケースを使っていました。これが、まぁやっかいなもので。笑
たしかにコンパクトなのですが、ぎゅうぎゅうに入れてるものだから、必要なときにサッと出せない、そして全部出して探そうにも見つからない。
コンパクトですぐに探せる、見た目がおしゃれなものがどうしても欲しくて今回作ることにしました。
こうして生まれたのがtroisとquatreです。
それぞれ単品でももちろん使えますが、2つ一緒に使う事で、日々のストレスが減り、より快適で心地のよい生活を送れるようなミニマルセットです。

3つ折り財布のtroisはこれ1つだけでも充分なくらいの収納量。トレンドのコンパクト財布はたしかに見た目はコンパクトだけど、カードや小銭もほとんど入らないし、入れすぎるとパンパンになるものが多かったり。
これはすごく小さい訳ではないけど、カード入れを可能な限り多くして、でも分厚くなりすぎたりしないように、と色々と調整して手のひらにおさまるこのサイズ感になりました。
お札入れの中にもぬかりなくカード入れをつくったので、笑 ポケットに1枚ずつカードをいれても11枚入ります。私はクレジットカードやキャッシュカードは手前のポケットに。お札入れのポケットには免許証や保険証、小さめのお守りなどを入れています。
お守りといえば、小銭入れの中にも隠しポケットをつけていて、私はここに師匠から卒業の時にいただいたクローバーモチーフのコインを大切にしまっています。
お札入れは2層にしました。私は仕事柄、お札と領収証で分けていますが、自分用と家計用と分ければごちゃごちゃにならずにスッキリします。

4つ折りのカードケースquatre は珍しい形が特徴ですが、これは私が頭で空想した事を、実際に紙で折り紙みたいに折って「こんな感じにしてください!」と企画の担当者に伝えた最終形。
パタパタと開く絵本のような、そんなイメージです。
1枚ずつ仕分けられる簡易的なカードケースはよくあるけど、それだとめんどうだし、嵩張る。
ショップ、病院、スーパー、子供関連など…カテゴリー別に入れて、パタパタと広げられたらどこに何があるか1番上のカードでだいたいわかるので、探す手間が省けるというもの。
外側をよく使うカード、内側はあまり使わないカードなどと分けてもいいし、使う人次第でアレンジできるのも便利。私はお財布にはICカードをいれたくない派なので、カードケースにICカード用のポケットもつけてもらいました。
しかし、このデザインは見たこともやった事もない上に、複雑な作りなので、作るのに大変手間がかかるそうです。大量生産では絶対実現しない、職人さんがひとつひとつ手作業で作っている完全オーダーメイドだからこそできる贅沢。無理難題なデザインを忠実に形にしてくださった職人さんには本当に感謝です。



この企画が決まったのは1年前のこと。
まずは革を決めるところからスタートしました。
一口に革と言っても種類がたくさんあります。定番の牛革にも、加工の仕方でソフトレザーなのか、ガラスレザーなのか、型押しなのか…
カラーはニュアンスカラーにしたいと考えていたので、今回は傷や汚れのつきにくいシュリンクレザーを採用しました。シュリンクとは革の表面をキュッと収縮させてシワをつくる型押し加工です。(私も今回勉強して初めて知りました!)
このシワをシボというのですが、このシボの大きさは、革をとる部位によって異なるそうで、背や腰あたりの一番きめ細かい部分だけを使い、手に吸い付くような滑らかな触り心地を実現しました。
また、使っていくうちに自分の手に馴染んでいく過程も愛おしいと思えるのがレザーのいいところ。
市場にある革を購入して作るのではなく、ベースとなる革選びの段階からこだわって作ってもらっているので、より長くご愛用いただけるアイテムになっています。

そして、何といっても私のこだわりはカラーです。
何百とあるレザーやファブリックの色見本の中から、自分のイメージに近いカラーを探し出すのは至難の技でしたが、自然光に当ててみたり、色の違いを並べてみたりしながら厳選した3色です。
ただ私が選んだ3色というのが、これまた職人さん泣かせな絶妙カラーの3色だったようで、実際に革で同じ色を再現するのは本当に難しく、高度な技術がいるのだそうです。
実際に染め上がったレザーはイメージとドンピシャでびっくり。これも日本の職人さんだからこそ為せる技です。
バッグは今まで洋服に合わせやすいベーシックなカラーを中心に選んできましたが、お財布は毎日使うものなので、デザインは極力シンプルに。でも使っていて気分が上がったりワクワクするような色合いをセレクトしました。
セットで持つ場合、同じカラーで揃えるのももちろんいいのですが、あえて違う色にしても同じトーンなので、喧嘩せずに持っていただけるようになっています。



このお財布とカードケース、実は買うのに少し躊躇するプライスかと思います。下手をするとハイブランドと同じような価格帯です。
正直、私も初めはもっと低価格で作りたいなぁと思っていましたが、実際に職人さんの工房へお邪魔して、その細かい手仕事と技術力を目の当たりにして、納得しました。
何よりパーツが多い分、そのひとつひとつの作業にすごく労力がかかる。
最初に全体のパーツの型をとって裁断し、その後、元々の厚みのある革を使う場所によって厚さ変えながら薄く加工していくのですが、これが本当にすごい。
これが厚ければ全体がぶ厚くなってしまったり、均等な厚さにならない。これだけたくさんのパーツが重なり合っているのに、ゴワつきなくすっきりとコンパクトなのはこの高度な技術があってこそ。
そしてパーツを貼り合わせて、縫製していく作業も全てmm単位。革なのでやり直しはできないし、本当に工程ひとつひとつに惜しみなく時間と手間がかかっている。
小銭入れのマチの部分もだって外側に折れないようになっているのには理由があるし、使っていて糸がほつれてこないようにする為にはひと手間がある。そんな手間の積み重ねががあるからこそ、仕上がりや佇まいが美しい。
レザー自体はしなやかで、使っていくうちに自分の手に馴染んでいくのですが、型崩れがしないのも素晴らしい。
だからこそ、大量生産ができないのですが、私はこの技術がつまったアイテムにハイブランド以上の価値があると思っています。
ぜひ実際手にとって実感してもらえたら嬉しいです。

そして長い文を読んでいただいた方へ朗報です。
今回、私のわがままでオプションでイニシャルの刻印を入れられるようになりました。
イニシャルを入れるのは職人さんが製作する最初の段階で入れなければならないので、3ヶ月ほどお時間をいただきますが、自分だけのオーダーメイドになるのでより特別感がアップします。
自分へのご褒美に、大切な方へのプレゼントに、ぜひご利用いただけたら嬉しいです。

お財布やカードケースの使い方って人それぞれ全然違うと思いますが、私がストレスなく使いやすい機能性、本当にほしいデザインにこだわって今回の商品が生まれました。
世の中には今たくさんの物が溢れていますが、自分の暮らしにフィットしていて、本当に毎日使いたいと思えるものが日々の暮らしを豊かにしていけるような気がします。
消費されていくモノではなく、これからも長い間ずっと愛でていきたいモノ。
周りに流されるのではなく、自分が心地いいと思えるモノ。
そんなものさしでモノ選びをしてもらえたら、きっと生き方が変わるし、未来が変わると私は思っています。
手にとっていただけた方がHappyな毎日を送れますように。



【troisとquatreの商品ページはこちらから】
Greish 財布についての考察
「上村若菜さんの想いをいかに形にするか」
ということが今回の財布プロジェクトの命題でした。

(革について)
素材の選定から始まりました。今回はソフトシュリンクを選んでいただき、その革を作ってもらうための革屋さんの選定、加工先のタンナーの協力があってようやく上村さんの希望の風合いを作ることが出来ました。色についても今回の3色は難しい中間色できれいに上げることが難しい色でしたが何とか求める色を表現できたと思います。

(三つ折れ札入れ)
三つ折れ札入れは小さくすればするほど収納したときの型崩れやカードの重なりで厚みも出てしまい少し不格好になてしまいます。小さい中での最良サイズをいかに見つけるかが今回の企画ポイントでした。今回小銭入れの中にもう一つポケットを付けました。これは上村さんがお守りを入れるポケットが欲しいと言うことからプラスした機能です。
このように思いのこもった三つ折れ札入れです。

(カードケース)
上村さんがいきなり紙を折りだして、こんな感じのカード入なら30枚入れても嵩張らないのでは・・・というところから物作りが始まりました。通常カード一枚の厚みが1mmあります。(ポイントカード等はもっと薄いですが)このカードが重なっても嵩張らずスマートに出し入れが出来る仕様は?と考え抜いて何度も作り直してようやく出来たのが今回のカードケースです。

(職人)
今回お願いしている職人さんは、企画当初から参加していただき、無理なつくりにも良く対応していただきました。革の裁断から漉き加工、下準備~縫製まで全て一人でこなしています。従って一日に出来る量に限りがあり、思うように工程が進まないと商品の仕上がりに支障が出てきます。今回も予定していた納期が大分日延べになっていることも事実です。

ここに記した様に、とても手のかかる工程を重ねて出来上がる商品です。
良質な品をお届けするために手を抜くことはできません。
そのため、お手元に届くまでお時間をいただく事もあるかと思いますが
良質なものを作り上げるためと.....お許しください。
最近は、納品スピードを競い、商品も使い捨ての様に消費されていますが、
trois と quatreはじっくり使い込んでいただけたら嬉しいです。
                              
アドニス㈱
企画 伊藤 誠